田舎暮らし

田舎の物価は本当に安いのか? 高山市の場合

2019/07/18

「田舎は物価が安く、生活費を抑えられる」

と、移住前は勝手なイメージを持っていました。しかし移住後に分かったのは、実は都市部よりも高い部分が多いということ。「田舎」で一括りにはできませんが、雪国である高山市ではどうなのか? を紹介します。

高山市の食費は?

生鮮食品を扱うスーパーが高山市にはいくつもあります。高山ならではの商品も陳列されていますが、品揃えは都市部のスーパーとそんなに変わりません。

ただ、値段が1〜2割ほど高いのです。移住当初、これに驚きました。てっきり野菜は、岐阜県産が大部分を占めているのだと勝手に思っていましたが、北海道や九州など、遠方から届けられている農作物も多いのです。肉や魚も同じです。考えてみれば、標高500mの山に囲まれた街に運ぶのですから、運賃が大きいのでしょう。

ただ、地元で収穫された野菜を販売する「道の駅」のようなところでは確かにビックリするほど安く購入することができます。しかし、1回で買い物を終わらせられる便利なスーパーというものがある中で、野菜のためだけにそこに行くという人は少数です。

自前で米や野菜を育てるような生活をしない限り、高山においては「食費安いよ!」とは言えません。外食に関しても、特別安いということはないですし、特に高山市中心部は観光地でもあるため「観光地価格」になっています。

高山市の光熱費、家賃は?

東京に暮らしていた時の光熱費といえば、水道、電気、ガス。ですが高山に移住してみると、プラスして灯油、そして我が家では薪というものが新たに加わりました。

・水道

水道代にはそれほど違いはありません。ですが、排水を流す先が下水ではなく浄化槽の場合は、メンテナンス費用が発生します。

・ガス

ガスは割高です。都市部で利用されている「都市ガス」ではなく「プロパンガス」なので、ほとんどの家庭の軒下にはガスボンベが置いてあります。これも考えてみればガスの業者が運びこむので、手間賃、運送費が料金にのっかるからです。

・電気

冬場の料金が顕著に上がります。というのも水道管が破裂しないように電熱線をまいているからです。気温が零下になると自動的に作動するものです。気を付けなければいけないのが、コンセントにプラグを差すのを忘れていると水道菅内の水が凍り、最悪の場合、破裂します。移住当初はそんな習慣がないので、度々水が出ない事態に陥りました…。

・灯油

灯油ですが、暖房だけでなく、ガスの代わりに給湯に使用している家庭も多くあります。ガスと比較するとやや灯油の方が安いかな? と思うレベルですが、世界情勢によって値段の上下が大きいのがネックとなります。

あとは、ガスや灯油を使わずにオール電化するという考えもありますね。ただ、いずれにせよ基本的には都市部よりも割高になると考えて間違いありません。特に暖房費です。高山では10月頃から徐々に暖房を使う機会が始まり、5月頃までそれが続きます。温暖な地域ですとそれが少なく済むのですが、高山では光熱費に占める暖房の割合が大きくなるからです。逆に夏は朝晩が涼しいので、冷房代が抑えられるメリットもあります。

ちなみに我が家では、薪ストーブを使用しています。本当に暖かいのですが、いかんせん薪を調達しなければなりません。薪に関してはまたの機会に書きたいと思いますが、我が家では薪代だけで1シーズン10万円ほどかかっています。

田舎=光熱費が安い、ではなくどちらかというと雪国=光熱費が高いと言えるでしょう。

・家賃は?

田舎には古民家と呼ばれるような伝統的な日本家屋に住んでいる人が多くいると思っていました。が、実際は普通の戸建てやマンションに暮らしている人がほとんどです。

ただ都市部に比べればやはり賃貸物件も売買物件も安いです。最大の理由は土地の安さで、都市部では坪数十万円が普通ですが、高山では中心部ではない限り坪10万円前後になります。ただ土地を除いた建築費用は都市部と大きくは変わらないので、単純に土地の値段が安い分、それがそのまま住居費が安くなるということになります。

また確かに古民家を格安の賃料で借りることもできます。「田舎暮らしといえば古民家!」みたいなイメージというか憧れみたいなのが存在しますが、正直僕は高山ではオススメしません。

よっぽどDIYが好きだったり、お金をかけて改修する気持ちがなければ、結構しんどい思いをすると思います。理由はまったくといっていいほど断熱されていないので、とにかく寒いからです。加えて隙間も多いので、虫も多く入ってきます。まあ虫が気にならない人はいいですが、少なければ少ないほどいいですし。

一方で、逆に言えば手をかけお金を注ぎ込む分だけ快適になるともいえます。なのでそこに楽しみを見いだせない人は避けた方が無難でしょう。

田舎ならではの必要なお金とは?

あくまでも自分が東京にいる時は必要なかったけど、移住して必要になったものを紹介します。

車関連の支出

大きい支出となるのが車です。東京では電車やバスでどこへでも行けましたが、高山では必ず車が必要です。それも1家に1台ではなく、1人1台。車輌の購入代金だけでなく、車検や保険、点検、タイヤ、ガソリン代など維持費も多くかかります。僕は、これが東京生活に比べて一番出費が増えた部分です。特にガソリン代は都市部に比べてが1リットルあたり10円前後高いので、気付かぬうちに財布を直撃しています。

その他の支出

町内会費

地味に大きいのが町内会費です。僕の暮らす地域は毎月変動しますが、平均月5千円ほどです。

道具(機械)関連

1回買ってしまえばしばらく使えますが、草刈り機や除雪機(人によります)など、「道具」へのお金もかかります。ただ田舎暮らしでまったく「農作業」などに関わらなければ、それこそ草刈り機ぐらいあれば事足りると思います。ちなみに僕は草刈り機、除雪機だけでなく、トラクター、田植機、バインダー(稲刈り機)、ハーベスター(脱穀機)など米づくりの機械。さらにはエンジンポンプ、電動高圧洗浄機、チェーンソー、エンジン薪割機…など、必要に応じていたら色々と増えてしまいました。そもそもそういったのが好きということもあるのですが、あんまり増やすと置き場の問題も出てくるので考えものです。

田舎の物価が安いは幻想だった?

温暖な地域かつ、都市部からのアクセスがいいような田舎であれば、比較的物価が安いところも多いでしょう。ですが高山に関して正直な感想をいうと、

「住居費は安いけどその他は少し高い。ただ娯楽施設が少ないのでそんなにお金を使う機会も少ない」

といった感じです。

「じゃあ高山は住むのにあまりよくないの?」と思われるかもしれません。確かにお金の面だけで言えば、他の都市に比べると高収入の仕事も少ないので、Yesと言えます。ですが、それ以外の部分にこそ高山の魅力があると思っています。そうでないと住み続けられないですからね。その辺はまたの機会に。

to be continued

-田舎暮らし
-, , ,

© 2024 秘境に家をつくる