米づくり

米づくり、田起こし&代掻き【農業初心者米をつくる♯3】

2021/03/04

前回の記事で、田んぼの整備を紹介しました。

「米づくり、田んぼを整備する【農業初心者米をつくる♯2】」 

この続きです。今回は田植え前に欠かせない田起こし、代掻きに関することを紹介します。

「不耕起」といって田んぼの土を起こさない方法もありますが、僕は一般的な方法である「田起こし」をしています。呼んで字のごとく「田んぼを起こす」もので、トラクターをつかって土を起こしていきます。

田起こしをする前に、トラクターを用意する

トラクターを運転する妻。

米づくりができよう田んぼの整備を終えたら、いよいよ本格的に「米づくり」を始めていきます。と、その前にトラクターがなければ何もできません。田起こしだけでなく、その後の行程も困難を極めるからです。トラクターがない時代は牛や馬の力を借りて行っていたそうですが、今は現実的ではないですね。ですので田起こしをする前の最重要ミッションがトラクターの確保になります。もちろん僕は米づくりを始めた当初は、トラクターを持っていませんでした。

米づくり1、2年目、トラクターを借りる

地元の方が「休耕田を蘇らせてくれるなら」と、好意で貸してくれました。ありがたいことです。

米づくり3年目、トラクター作業は誰かにお願いする

田んぼを家の近所で借りられた3年目。いきなり困りました。1、2年目はトラクターをお借りできたのですが3年目は、

「誰も貸してくれない…」

そりゃそうなんですよね。今までがラッキーだっただけで。機械だけに操作を誤って故障することもあるかもしれないですし、土を攪拌する「爪」が減りますし。へんにリスクを負うよりも「貸せないなぁ」と言った方が何も問題は起きませんからね。

そこでトラクター問題の解決方法を考えてみると、

  1. 米づくりを諦める
  2. トラクター買う
  3. トラクターを借りる
  4. 誰かにお願いする
  5. 馬か牛を飼う

あたりですが、それぞれメリット、デメリットがあります。

  1. 米づくりを諦める→諦められない
  2. トラクター買う→購入費、維持費がかかるものの、自分のタイミングでいつでも使える
  3. トラクターを借りる→近所の人以外だと農機レンタルなどで借りられますが、結構いいお値段…
  4. 誰かにお願いする→こちらもまあまあなお値段になるものの、トラクターの維持費は不要
  5. 馬か牛を飼う→ちょっと無理

で、3年目は最終的に「4.誰かにお願いする」に。近所の仲がいいおじちゃんが困っている僕らを見て「仕方がねぇ、そんなに困ってるならやってやるよ!」と、救いの手を差し伸べてくれました。田起こし、そして代掻きをお願いして、お礼して。という3年目でした。

米づくり、4年目、トラクターを買う

3年目を終え、4年目に入る前。いろいろな煩わしさから解放されそうな「2.トラクターを買う」を決意。そこで、近所に住む農業をほぼ引退した方に聞いてみることに。そしたら条件つきで売ってくれるとのこと。それは「その人が使いたい時には貸す」ということ。お互いwin-winの取引だったので、遂にマイトラクターを持てるようになりました。

購入したトラクターは古いモデルですが、

屋内保管

使用時間が短い

ディーゼルエンジン

とまだまだ使えるもの。

2017年に購入したトラクター。年代物ですが、まだまだ使えそうなコンディションです。

米づくり、田起こしにトライ

トラクターを確保するという前置きが長くなりましたが、次は田起こしです。

1、2年目の田んぼにて。右が軽くかき混ぜた部分で、左が更に丁寧にかき混ぜた部分。

トラクターを運転する

1年目の田んぼで初めてトラクターの運転をしました。車の免許はマニュアルですし、バイクにも乗っているのでなんとなく操作方法は分かります。が、いかせん相手は土。慣れない作業ながら、細かく、そして「深く」土をかき混ぜていきます。※さも僕がやっているように書いていますが、この時、妻もトラクターデビューしました。

田起こしの際に「深く」かき混ぜたのが、後になって大失敗と判明。「できるだけ深くした方がいいんでしょ?」なんて勝手に思っていたのですが、あまり深く混ぜてしまうと、沼地のような田んぼになってしまうのです。水を張ると足が膝近くまで埋まるほどで、色々と後の作業が大変でした。田起こしの際はほどほどの深さで行うことを強くオススメします。

と書きましたが、下記のように農機具でお馴染みのクボタのサイトではこんなことが書かれていました。

土を起こして乾かすと、土が空気をたくさん含むので、稲を植えたときに根の成長が促進されます。
深く耕すほど高収量が得られるという意味で「七回耕起は、肥いらず」「耕土一寸、玄米一石」などと言われてきました。【クボタのたんぼ】

とはいっても、経験してみた実感としては絶対に深過ぎない方がいいと思います。

田起こしの際に肥料は入れる?

一般的な方法での米づくりであれば、田起こしの際に肥料を入れます。ただ僕がお借りした田んぼはすべて長い間休耕田だったため、雑草によって蓄えられた栄養があると判断し、肥料は入れませんでした。

田起こしを終え、水を張る

田起こしを終え、水を入れ始めました。右下から水が徐々に広がっていく様子。

一通りトラクターでかき終えたら、いよいよ水を入れます。しかし土が隠れるほど水を入れても、2、3日もしたらだいぶ水が抜けてしまいました。モグラが掘った穴や地中の穴など、いたるところに水の出口があるからです。これを防ぐために、「畦塗り(あぜぬり)」「代掻き(しろかき)」へと進んでいきます。

米づくりで畦塗りは必要?

畦塗り後の様子。左側の部分が分かりやすいのですが、泥を塗っています。また途中からマルチもかけています。

田んぼの縁の盛り上がった部分を畦(あぜ)といいます。パッと見では分からないのですが、そこにも穴が多く開いています。その穴を塞ぐために行うのが「畦塗り(あぜぬり)」。トラクターの後を畦塗り機に付け変えて畦塗りをすることもできますがそんな便利なものは持っていないので、手作業で穴を防いでいきます。

  • 水でどろどろになった土を鍬(くわ)ですくう
  • 畦にべちゃっとつける
  • 左官のようにある程度、平らにならす

ただこれだけですが、やってみるとなかなかの重労働。少しずつ進め、田んぼをぐるりと1周行います。

よっぽど水が漏れない作りの畦だったり、コンクリートで固められている田んぼでは必要ない作業です。

米づくり、代掻き(しろかき)

代掻き後の様子。水の濁りが落ち着いてくると、景色を映す鏡となり、美しくなります。

「畦塗り」を終え、次は代掻きです。主なる目的は、

  • 水を含んで粒上になった土を、どろどろの泥状にすること
  • 表面のでこぼこをならして平らにすること

です。代掻きをすることで水漏れが防げますし、田んぼが平らになることによって水の管理がしやくなります。この作業は再びトラクターの出番となりますが、爪は耕耘爪のままでいきます。というのも「代掻きハロー」という代掻き専用の爪(少し短め)が付いたものを使うのがベストではありますが、耕耘爪のままでもできなくもないと聞いたからです。そして、代掻き開始。

「よしっ、ドロドロになった!これで水が漏れないはず!

と思いきや、

 

漏れました…。

 

次なる手段は、畦にマルチを貼ること(畦塗りのところで紹介したもの)。プラスチックということ、そして後々の処理を考えると使いたくはなかったのですが、背に腹は代えられず使ってみました。すると、水が減っていくにせよだいぶそのスピードが抑えられたので、このままで一旦、準備は終了。

凸凹をならすには、長い木の棒に紐を付けて引っ張るという方法も。写真は、1歳児を背負いながら頑張る妻。

何故水が漏れたらまずいのか?

米づくりの先輩方に言われるがままに、水が漏れないようにやってきましたが、そもそも「なんで水が漏れたらだめなの?じゃんじゃん水を入れたらいいじゃん」という疑問が。もしそれでよければ「いろいろラクになるんじゃないの?」と。そこで調べてみると、

稲が生長するにあたって、冷たい水をずっと当てておくのは、生育によくない。一度溜めたら、数日は水を入れないで放置がいい。そうすれば太陽で温められるから。もし水の減る頻度が早いようなら、朝に水を入れるべき。夜は冷えが続くので入れちゃだめ。

ということだそう。

なので、できるだけ水を保てるようにみんな四苦八苦しているのです。

これで1週間ほど田んぼを落ち着かせたら、いよいよ米づくりを代表する風景である田植えとなります。

これにて「米づくり、田起こし&代掻き【農業初心者米をつくる♯3】」は終了です。

次は「米づくり、田植え&水管理【農業初心者米をつくる♯4】」に続きます。

to be continued

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