家作り工事編

ドアを取りつける【秘境に家をつくろう〜工事編12〜】

2020/03/05

前回の記事にてフローリングを張ったところまでを書きました。

「フローリングを張る【秘境に家をつくろう〜工事編11〜】」

この続きです。

今回は、ドアに関して。

玄関やトイレ、寝室、脱衣所など、いろいろな所に必要になるドア。宿を作る際に腕のいい建具屋さんと知り合っていたので、自宅もその方にお願いすることにしました。その方は生粋のバイク乗りなので、建具よりもついついバイクの話で盛り上がってしまいます。「施主」、「業者」というだけの関係ではなく良好な関係を築けると、いっそう建具にも愛着が湧きます。

我が家では、玄関、寝室、トイレ、脱衣所、室内からガレージへ続くドア、ガレージのドアと6枚の制作をお願いしました。戸建てとして考えると少ない方だと思いますが、それぞれを紹介します。

玄関のドア

「玄関は家の顔」というそうです。昔からある近所の家々は、そんな言葉通り大きくて立派な玄関が多いです。ただ、我が家は予算も限られていますし、そもそも大きくする必要性を感じなかったので、サイズ的には幅が800mmほどの普通サイズの玄関ドアにしました。サイズは普通で、デザインも普通。ということになると面白味に欠けるので、「古材」、しかもちょっと変わった「ハンドヒューン」の板を使うことにしました。購入先は小山製材木材です。古材は1枚1枚表情が異なるので、通常は栃木県にあるお店で見た上で購入というのが基本だそう。ですが、いかんせん遠距離ということを考慮いただき、現物を見ずに購入させていただけました。

「ハンドヒューン」とは手斧を意味します。手斧で木材を加工していた開拓時代を伝える板材で、大きな特徴が手斧の跡がそのまま残っているということ。表情が面白く、その凹凸がいい味といえます。

まずは、建具屋さんに古材を張れるように薄めのドアを作っていただき、そこで、仕入れた板材を貼ります。この部分は自分で行ったのですが、結構、頭を悩ませました。というのも古材だけに直線はなく、そのまま並べるとどうしても隙間が出来てしまうからです。とはいっても、直線を作るとこの材が持つ良さが半減してしまう…。最終的に、並べる順番を何度も変え、隙間が目立ちずらいところを探して貼ることにしました。

ドアにハンドヒューンの板材を並べているところ。縦にはみ出た分は、慎重に丸ノコでカット。

そして、更に問題があったのが、鍵穴部分。古材に穴空けをするのですが、一発で成功しなければ、チーン…。となってしまうので、何度も計って「えいやー」と。奇跡的に、ちゃんとしたところに穴をあけることができました。

接着には木工用ボンドを使いましたが、それだけだと頼りないので、建具屋さんに教わった下記の技を使って釘止め。そうして、玄関ドアが完成しました。

建具屋さんに教わった、釘の加工。①②③は釘を横から見た図、④⑤は釘を上から見た図。

①目立たないように黒い釘を準備 ②③傘?の部分を金槌でコンコンして図のように曲げます ④ドアに向かって図のよう打ちます ⑤図のように打つと、水が溜まってしまう可能性があるので避けましょう。

完成した玄関ドア。取っ手は、シンプルなアイアンのものをビス留め。釘もまったく目立ちません。

完成後は、小山製材木材さんのサイト上にある施工例で掲載いただきました。

トイレのドア

トイレのドア、トイレ側。ウォルナットの突板。

廊下側がオークの突板(つきいた)で、トイレ側を床材(ソノケリン)と色味を合わせるため、ウォルナットの突板にしました。塗料は、オークはワトコのミディアムウォルナットで、ウォルナットはワトコのナチュラルを使用しました。

寝室のドア

寝室側のドア。オークの突板。

シンプルに廊下側も寝室側もオークの突板で。こちらも両面ワトコのミディアムウォルナットで塗装。

脱衣所のドア

脱衣所の引き戸。突板はオーク。

こちらも廊下側、脱衣所側、共にオークの突板で。塗装も両面ワトコのミディアムウォルナットです。ここは1,200mmほどの大きめの開口にしましたので、ドアもなかなか大きいものになりました。このドアは引き戸だったので、Amazonでアイアンのレールを探して、取り付け。これも一筋縄ではいかず、レールを打つことをすっかり忘れていたので、地を作らずに石膏ボードで処理してしまっていました。そう、ビスを打つ地がないということです…。なので、間柱が入っている所に合うようにアイアンレールを切断し、穴を空けたりということをしてなんとか取付できました。

ちなみに鍵はありません。開けたら「キャッ!」なんてことはないので。というか通常は開きっぱなしで、お客さんがきたときのみ閉めています。未だ「キャッ!」ということにはなっていません。

脱衣所のアイアンレール。

ガレージへのドア

ガレージへと続くドア。突板はオーク。ドアの右側は白トビしていますが、スイッチです。

室内からガレージに室内から行けるようドアを設置しました。こちらは室内側がオークの付板で、ガレージ側がベニヤです。なぜベニヤなのかというと、ガレージ側には古材を貼る前提だったからです。しかし入居しておよそ2年。未だ貼られることなく日々が過ぎていってます…。

ガレージのドア

これは建具屋さんも大工さんも「こんなに大きいのは初めてやで!」との言葉をいただきました。サイズはH2,200mm、W3,500。すごいフワっとしたイメージで「ガレージを開ける時は、木製の大きなドアをガラガラと開けたい」という思いがあったからです。

ドアの制作方法

ガレージのドアの枠組み。一度に全て入れないで、金槌でコンコンして直角を確認しながら組み立て。

このドアは枠となる木材を建具屋さんに渡して、枘(ほぞ)と枘穴の加工だけしていただきました。大きいので運ぶのが大変になることから、現場で組み立てできるようにです。枠はいたって簡単にできましたが、そこに貼る材が問題となりました。かっこいい古材を使おうと思っていましたが、2,200mmの材ってあまりない…。それにもう予算もない…。気は進みませんでしたが、1×4材ならば、3,000mmを超すものもホームセンターで簡単に手にはいるので、それを使うことに。気分が変われば簡単に変えられもしますし。いざ、取り付けようとすると、反っていたり、曲がったりしているものも。全体重をかけて抑えつつ、ブラウンのビスで打っていきました。これでドア自体は完成です。

1×4材を張り終わった状態。

取付金具に関して

そして取付に関してですが、結構な重量になるため、相応の金具が必要になります。色々と調べた結果、株式会社ヤボシから販売されているドアハンガーが思い描いているものに最適ということが分かりました。とはいっても種類も多くどれを選べば分かりません。あらかじめ重量を計算し、寸法を控えた上で、直接電話してみました。すると、親切丁寧にどれを選べばいいか教えてくれました。これで金具も揃いました。

準備した金具。

重量ドアの取付方法

ガレージの中に置いてある状態、ここから引っ張りだして、吊り下げます。

1×4材1本だとそんなに重さを感じませんが、すべてを枠に取り付けるとかなりの重量…。「これは…、無理。人力では持ち上がらない…。いまさらですがどうしましょう?」と、大工さんに相談した結果、基礎屋さんのユンボが置いてあったので、それを使って吊り上げながら金具を固定していこうという作戦に。最終的には、ある程度人力でなんとかなる部分もあり、紆余曲折を経て取り付けることができました。

ドアを取り付けた状態。

ドアの塗装

このドアは屋外に面していること、雨風があたることから、屋外用の塗料として定評があるキシラデコールを塗りました。色は、オリーブです。

ガレージのドア。

ガレージのドアの取っ手。錆てきていい味が出てきました。

外部に通じる玄関やガレージなどのドアを木製にすると、どうしても寸法変化により隙間が出来たり、動きが渋くなったりということが起きます。また断熱にも悪影響がある場合もあります。ただ、そのデメリットを超えるメリットを感じたので木製を選択しました。メリットといっても「雰囲気」というだけなんですが…。

ドアひとつに長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

これにて「ドアを取りつける【秘境に家をつくろう〜工事編12〜】は終了。

次は「内装に木を張る【秘境に家をつくろう〜工事編13〜】にいきます。

to be continued

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