前回の記事にて透湿・防水シートを張るところまでを書きました。
「間柱から透湿・防水シートまで【秘境に家をつくろう〜工事編03〜】」
この続きです。
タイベック(透湿・防水シート)を張り終えると、色々なことを現場判断にしたツケが回ってきて、あっちこっち考えながら、そして同時に手を動かしながらという時期でした。そのため、話もあっちこっちいきますが、実際にそんな日々でした。
浄化槽を設置しよう
以前にも書きましたが、我が家は下水道に繋がっていないので、浄化槽(合併処理浄化槽)を使って排水を流します。この写真が工事の様子ですが、大人1人がすっぽり入るほどの大きな穴をあけて、そこに浄化槽を入れます。浄化槽の設置は市の指定水道業者が行わなければならないので、僕はノータッチです。って、「自分でやってもいいよ?」なんていわれても絶対に困り果てるだけですが。
外壁はガルバ(ガルバリウム鋼板)を張ろう
家を建てるということは、それこそ100以上の決断が迫られます。そのひとつが外壁をどうするか?ということでした。セルフで外壁を張る場合、その加工のしやすさから、木材を使うことがやはりベストの選択肢でしょう。
しかし選択したのは、ガルバ(ガルバリウム鋼板)でした。理由は、木材を使用するよりも安くなるからです。板金屋さんに施行してもらっても安くなりますし、なにより「自然の中の家=ログハウス」みたいなイメージがあるなかで、あえて無機質な感じを出すのも面白いと思ったからでした。
そこで板金屋さんから3枚の見本を渡され、選ぶことに。折り目が多い方が衝撃に強く、逆に少なければへこみやすくなります。ただ折り目が多いとそれだけ材料が増えることから、材料代は上がってしまいます。
悩んだ結果、選んだのは一番折り目が多いものでした(写真右側)。理由はデザイン性です。折り目が少ないのは、費用は魅力ですがあちこちで見かけるので面白みがないのかなと。
ただ選んだのはいいのですが、これを施行するには外壁に胴縁(どうぶち)という下地となる木材を流さなければなりませんが、それはとりあえず後回しにしました。
屋根材は耐摩カラーSGLを張ろう
屋根材は板金屋さん一押しの耐摩カラーSGLというものにしました。外壁に比べ屋根は圧倒的に過酷な環境になります。メーカーHPでは、以下のように特徴が紹介されています。
エスジーエルと特殊ガラス繊維強化塗膜との相乗効果で、長期耐久性が飛躍的に向上。しかも施行初期の白錆低減にきわめて優れるため、美観維持の面でもさらに安心してご使用頂けます。
外観に使う色はできるだけ少なくしなかったので、サッシと同様に黒(写真はグレーに見えますが…)を選びました。ここも板金屋さんにお任せのパートでした。
基礎断熱にフェノバボードを張ろう
断熱の考え方は色々とありますが、我が家は基礎断熱にしました。というよりも大工のMさんにオススメされたからです。使用したのは、フクビ化学工業株式会社のフェノバボードというものです。これを基礎の屋内側に接着剤を使って張っていきます。
ようやく僕の出番となり、計って、丸ノコで切って、張ってを繰り返していきました。
フェノバボードを切るときは、丸ノコの刃を裏返して装着して切ります。柔らかなものを切断する際に使う技だそうです。
張り終えたら、基礎と土台の隙間に近くのホームセンターで購入してきた発泡ウレタンを吹いていきます。いかに外との隙間をなくすかが鍵でなので、念入りに行います。
大引きの下に束を入れよう
フローリングのすぐ下に合板を貼りますが、さらにその下には大引きがあります。正確にプレカットされているので、基本的には大きな狂いはありませんが、床下ということもあり、ここが少しでも狂っていると後々やっかいなことになります。よくテレビなんかでビー玉を転がすとあらぬ方向に転がってしまうというやつです。
そこで、大引きの下に910mm間隔で束を入れます。我が家では高さ調整が可能な鋼製束(こうせいづか)を入れました。位置を決めて、接着剤で床と固定します。大引きに軽く触れたあたりで、いったん調整はストップ。大引きの上に水糸をはわせ、きちんと水平が取れいてるかを確認しながら、上下させて本締めして終了。という流れでした。
鋼製束は上部分が、L字になっています。写真のように設置する場合、その受けが互い違いになるようにします。奥はL字の立ち上がりが見えていますが、手前は見えていません。
井戸工事で水を開通させよう
井戸を掘ってもらってから随分と月日が経ちましたが、早めに水道を繋いだ方が何かと便利ということで、井戸屋さんに来てもらいました。目的は地中深くまで入っているパイプにポンプを繋げて、給水できるようにしてもらうためです。
油圧ショベルと書きましたが、これはバックホー、ユンボ、ショベルカーなどの名でも呼ばれています。基本は同じものですが、ややこしいです。例えるなら、ソニー製以外の音楽再生機器でも「ウォークマン」というようなイメージです。
電気工事をしよう
電気工事は、第二種電気工事士の資格を持っていなければできません。もちろん僕は持っていないのですが、結構簡単な部分も多いようなので、できるだけ自分でもやろうと思いました。
ただ自己責任でもやってはいけないので、いつもお世話になっているUさんに監督をお願いしました。Uさんは第二種の資格を持っているどころか、機械の基盤なんかも治したりできます。それに電気関係だけでなく、農業などに関しても幅広い知識を持っていて、困ったらなんでも相談できる心強い人で、本当に頼りになる存在です。
電気工事を行うにあたり、まずは様々なものをどこに設置するかを決めなければなりません。なぜなら配線を壁の中に埋め込んでしまうため、あとから変更しようと思っても簡単な話ではないからです。
電気工事を行う前に、
家具をどこに設置するのか?
生活動線はどうなるのか?
をしっかり考えておく必要があります。間取り図を見ながら、じっくり想像して決めていきましょう。決めたら配線図に落とし込みます。
配線図を作るにあたって参考にしたのは「マンガで"そこそこ"わかる新・第2種電気工事士」という本でした。1回読んだだけでは、完璧には理解できませんが、確かに”そこそこ”分かるものです。
ただ配線図を書く前に、以下のことを考える必要があります。
- コンセントの設置:コンセントの位置を決めるには、冷蔵庫や洗濯機、テレビなど多くのものをどこに置くのかを決めなければなりませんし、設置の高さも重要になります。コンセントは1つ、2つ増やすだけなら安いものなので、迷ったらできるだけ多く付けておいた方が、後々困ることがないでしょう。
- 照明をどうするか?:照明を事前に決めるのは、なかなかハードル高い決め事だと思います。小さな部屋だったら中央に付ける前提でいいのですが、広いスペースだと正直住んでみないと分かりません。なので、決められないところはライティングレールを設置するということに決めて、位置決めをしていきました。
- スイッチの設置:暗闇でも手探りでON、OFFできる位置がいいですし、3路スイッチもどうするか決めなければなりません。
3路スイッチとは?1つのスイッチで照明をON、OFFするものは「片切スイッチ」と呼ばれます。対して、2つ別々の所にあるスイッチで照明をON、OFFできるものを「3路スイッチ」と呼びます。例えば、玄関に入って廊下の照明をつけ、リビングに着いたら、廊下の電気を消す。そういったことができます。4路スイッチなどもありますが、まず使うことはないと思います。
我が家は天井を高くとるために、屋根裏というスペースを設けませんでした。そのため、VVFケーブル(電線)は床下か壁の中を通すことになります。我が家は大工さんのススメで壁の中、柱や間柱に穴を開けてそこに通しました。この方法は、あとあと変更するのが大変になりますが、床下を通すよりも距離が短くなるので、VVFケーブルを節約できるメリットがあります。
家が完成した後に、漏電確認をして問題はありませんでしたが、今思えば少々材料費が上がろうとも、床下を通した方が、何かあった時に対処しやすいのかなとも思います。
電気工事は、知識さえあれば結構簡単な作業です。第二種電気工事士の資格を取るか、その資格を持っている人と一緒にやることで大分コストが浮きます。電気に関して少し紹介しましたが、また別の機会に詳しく書ければと思います。
これにて「屋根、外壁、浄化槽、電気【秘境に家をつくろう〜工事編04〜】」は終了。
次は「断熱材を入れる【秘境に家をつくろう〜工事編05〜】」にいきます。
to be continued